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momparschaft

momparとmomparschaft。
聞きなれない言葉、聴きなれない単語でした。
1300年のコブレンツ都市参事会成立文書(Bär, Urkunden und Akten, 1898, S.28f.)に各一箇所、くわえてK.LamprechtのDWLにも確か一箇所出てくるこの表現。独和辞典にものってなくて、なんだかはがゆい思いでした。
 文脈を見る限り、「長老」とか「有力者」といった意味に読み取れるということ、あと文書の中での位置づけにそれほど概念上の重要性が見えないことから今までほうってあったんですが(2月から)、ふとDeutschen RechtswörterbuchをWEB上で調べたら、でてました

mompar→mombarで音が変化してるわけですね。意味は「集団における代表」と、比較的ニュートラルな意味でした。現代法では(特に裁判などにおける)法人の代理人・代表者を指すようです。
 こんなささいな、しかもわかってみるとそれほど特殊でない意味の言葉でもわかるとうれしいので、エントリーとして残しておきます。

 ただこのオンライン事典、はっきりいって使いにくいんですよね。まあ些細な問題ではありますが。

 冷静になって見直してみると、mompar=メンバー、ってことですね。現代ドイツ語にはmombarという言葉は一般的な語としては存在しないはず…。

 (8/28追記)
 上記のような内容をエントリーしておいたところ、私の優秀な副官から情報を頂戴しました。オランダ語でもmember系統の単語は基本的には存在しないとのこと。memberのドイツ語であるMitgliedと同系統のlidという単語が使われているとのことでした。そして副官の示唆にしたがって調べて見たところ、そもそもmemberという英語はラテン語のmembrumから来ている様子。フランス語・スペイン語・イタリア語はみなこの系統の単語でした。ドイツ語・オランダ語がむしろ少数派なのか…。
 というわけで、1300年前後のドイツの都市の史料の中にあらわれたこのmomparschaftという語、なかなかその語源以上に面白そうな背景を隠していそうです。
 大まかな形で言うと、現代ドイツ語の「mombar」の早期の表現であるこれは、ドイツ都市の法体系におけるローマ法の影響、概念借用、といった要素を秘めていると思われるのです。
 ゲルマン法とローマ法の対決、という大きな一つの流れがドイツ19世紀法学、あるいは法制史の中には存在していました。これは中世における、一つの小さな「のぞき穴」なのかもしれません。

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