日本のSFは死んだのか?あるいは「ローダン」だけは生きているのか?
えー、フルカワはSFファンに喧嘩を売ってるわけではありませんので、煽り文についてお怒りのかた。ごめんなさい。SFファンでない(かつテキストは読む)人間としての、正直な気持ちではあります。
「ドイツ漫画事情聞きかじり」のコメント欄で、tsupoさんに
ドイツといえば、「ペリー・ローダン」なのですが、いまドイツ本国では、どの程度流行っているものなのでしょう?
小説だけではなく、マンガも出ているとかいないとか。
日本では、完全に固定ファンにしか読まれていないものと思われます(固定ファンの数が採算に見合うだけ存在しているので刊行が続いているのだと思われます)。
との示唆をいただき、それまで「ローダン」と「ドイツ」のつながりなどまったく考えたこともなかったフルカワはちょっと興味を惹かれました。この記事は、SFにまったく疎いフルカワが調べようと思って調べきれた限りの調査ノートみたいなものです。
まず話題の「宇宙英雄ペリー・ローダン」シリーズとはなにか?という点について、ソースとして
Perry Rhodan-Die größte Science Fiction
(ドイツ語の公式ホームページ?ですかね)
Perry-Rhodan
Wikipedia-宇宙英雄ペリー・ローダン
を見ました。…太陽系第三惑星最長のSF小説!すげえ肩書きです。そして冊数もものすごいです。現在原著が3000冊ですか。日本語訳は300冊弱(原著2冊分を合本して1巻)、ふむ、まだ5分の一ですか…ってそれでも多い!複数の作家がチームを組んで、壮大な銀河世界をテキストにつづっているわけですね。
そしてびっくりです。やっぱりありましたよローダンを扱うココログサイト。なんともすごいですな。
ローダンページ
…で、私も世代的にはかろうじてSF暗黒時代(があったのかどうかはわかりませんが)以前に少年時代を過ごした身、「ローダン」シリーズとの接触がなかったわけではありません。中学生のころ、読書という行為にもはや充分に中毒しつつあり、小遣いを本に廻すくらいにはなっていた頃の話です(なお当時、今で言うライトノベルはまだ草創期にあたり、出版点数もほとんどなく、オタク系少年少女があたりまえのように購入する、という時代ではなかったと思います。ちょっと前の話なのにすごい時代差を感じます)。
地方在住のオタク少年であったフルカワは古本屋で面白そうな本をひとやま幾らで買うのが好きで、「ペリー・ローダン」第一巻「大宇宙を継ぐ者」、および(ある意味ローダンシリーズと対になっている)”日本最長のSFファンタジー小説”「グイン・サーガ1 豹頭の仮面」が同時に含まれていたのは運命かもしれません。
フルカワは「グイン・サーガ」は1巻でハマって(70巻くらいまでは)読み続けることになりますが、「ローダン」は1巻で終わってしまいました。なぜ?
…だって私には面白くな(あわわ)。
当時フルカワは「指輪物語(いわゆるロード・オブ・ザ・リングですね)」は読み終えていたし、デュマ「三銃士シリーズ」なども読み終えてましたから、長い話に耐性がなかったわけではありません。また幼児・少年少女向けの物語本にはかなりSFテイストを持つ作品が(当時)多く、SFに拒否反応があったわけでもありません。ですから、なぜ「グイン」は読んで「ローダン」は読まなかったのか?ということになると、おそらくは原作の内容もあるかもしれませんが、「ローダン」が「大人向けの翻訳作品」という印象を示していたからではないのかな、と思います。
「ローダン」を知らないけれど、興味がある…そのような人は、ググってみることをおすすめします。膨大な数のファンサイト、リンク集が見つかると思います。そして一歩「ローダン・マニア」の世界に足を踏み入れたならば、そこには圧倒的な量の情報、圧倒的なファン気質を見出すと思います。はっきり言って、門外漢にはさっぱり理解できない世界です。私は「何も知らない人間がローダンを読み始めるというのは、まず不可能だな」と思いました。だって、翻訳の既刊がすでに300冊弱ですよ?原著より圧倒的に歩みの遅い翻訳でですよ?原著などは3000冊ですよ?死ぬまで読みきれませんよ。しかも、正直な感想としての言い方になってしまいますが、「いかにも早川書房的な翻訳口調文章」なのです。翻訳者が変わった現在は、あるいは異なるかもしれませんが…「大宇宙を継ぐ者」に、圧倒的な「壁」を感じるのは、10代当時の私だけではないと思います。
ですから、tsupoさんが「日本では、完全に固定ファンにしか読まれていないものと思われます」と言われるのも、SFファンではない私は、状況を知らないにもかかわらず納得してしまうところです。
…でも、そもそもSF小説とは売れているので(あわわ)
どうも最近、危険なネタが多いですねと思いつつも続けます。私はいわゆる第二世代オタク(という分類があるかどうかはしりませんが)の中に位置していると思います。まあスーパーファミコン世代でしょうか。SFに拒否反応は必ずしもないが、翻訳作品としてのSF/ファンタジーにはさほど詳しくない世代ではないかと思います。それ以前の世代は、「そもそも翻訳作品しかない」世代だったと思いますので、私は彼ら第一世代が吸収して噛み砕いたSF/ファンタジー(たとえば幻魔大戦シリーズ、クラッシャー・ジョウとダーティペア、銀河英雄伝説、ちょっとマニアはいってるひとは神林長平とか梶尾真治とか)に流れる世代に属していたと思います。そのような中にあって、当時すでに「ローダン」のような翻訳SFに流れる人口というのは、おのずと限られていたのではないかなと思います。同様の理由から、フルカワはファンタジー好きであったにもかかわらず、「ハヤカワFT」シリーズにもさほどのめりこみませんでした(単純に単価が高かったということもあります)。
そして時代は流れ、今はティーン向けの小説というと圧倒的にライトノベル飽和の時代です。売り上げ的には圧倒的に劣勢であろう(と勝手に推測しますが)翻訳SF小説、そもそも売れているのでしょうか?今後はどうなんでしょうか?興味がないといってしまえばそれまでになってしまうんですが、tsupoさんの「ドイツといえばペリー・ローダン」というコメントには、それほどまでに「ジェネレーションギャップ」を感じたフルカワなのでした。いやもちろんtsupoさんの実年齢を存じ上げてるわけじゃないですが。
国は異なれ同世代の認識がさほど異ならないのがオタクジェネレーション、さてドイツの若者の間で「ローダン」は読まれてるのでしょうか?
この話、ぜんぜんまとまってないので更に続きます。グダグダ長文垂れ流し。
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